PMDDと漢方薬
PMDDとは
PMDDとはPMSの諸症状の一つであり、「イライラ」や「気分の落ち込み」「不安」「怒りっぽくなる」といった精神症状が強く出ているもので、「月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder)」とも言います。
PMDDは重症のPMSとも言われ、月経がある女性を悩ませている症状です。
具体例としては…
- 喧嘩が増えてしまう
- 過食が止まらない
- 感情のコントロールができない
- 劣等感が出てくる
- 人と会いたくない、話したくない
- 集中力の低下、やる気の低下
- 頭の中にモヤがかかる感覚がある
- イライラする
などが挙げられます。
このようにPMDDは社会生活や人間関係にも支障をきたすことも多いため、早めに相談することを勧めています。
西洋医学では抗うつ薬や経口避妊薬を用いるケースもありますが、そのような薬に対してハードルを高く感じている人も多くいます。
そのため、PMDDに対して漢方や中医学による改善を求める女性も増えています。
PMDDと漢方・中医学
PMDDを漢方や中医学の視点から考えた時、気の巡りが悪くなる気滞(きたい)と、気の不足からくる気虚(ききょ)が併発している可能性があります。
気とは心や体を動かすエネルギーのような存在です。
『気持ち』『やる気』『気配り』『気丈に振舞う』『気を入れる』、などの言葉から分かるように、気が不足すると『気持ちが弱い』『やる気がない』『気配りが辛い』『気丈に振舞えない』『気が入らない』となります。
このように気は不足することなく十分にあることが大切なのですが、ただ『あればよい』というものでもありません。
気は体を滞ることなく流動的に流れていることが大切です。
気の巡りが悪くなると『気滞』を発生させ心と体を緊張状態にします。
その結果、イライラ、頭痛、落ち込み、不安、怒り、お腹の張りなどの症状をもたらします。
PMDDに使われる漢方薬は体質や状況に応じて様々変わります。同じような症状に見えても使う漢方薬が異なることを『同病異治』と呼びます。そのため、自分に合った漢方薬を服用するためにも必ずカウンセリングを受けてください。
PMDDを改善するうえで大切な生活養生
1.朝食は抜かない
朝食は1日の気を補う大切な食事です。ガソリンのない車が走らないように、気のない心や体は活発に動けません。
朝食をとる時間を必ず確保しましょう。
2.疲れない程度の運動をする
運動は気血の巡りを良くしてくれます。
10~30分程度、朝~夕方までに行いましょう。
※夜間に運動をすると睡眠の質が悪くなることもあるので、注意が必要です。
また過度な運動は気を消耗させすぎるので、逆効果です。『疲れた』と感じない程度に留めておきましょう。
好きな音楽を聴きながら散歩をする程度でも良いですね。
3.ビタミン・ミネラルを摂る
PMDDの原因の一つとしてビタミン・ミネラルの不足が考えられています。
インスタントフードなどの加工食品よりも自然な食品を摂ることを意識しましょう。
もし難しい場合はマルチビタミンやマルチミネラルのサプリを摂取することも良いでしょう。
4.入浴中や就寝前はリラックス&深い腹式呼吸を
入浴も気血の巡りを良くする大切な時間です。香の良い入浴剤などを入れて気分を良くしましょう。
就寝前は腹式呼吸で大きく呼吸することが大切です。
緊張した心と体を緩めてくれるでしょう。
ストレス社会の日本において、PMDDで苦しんでいる人はかなり多いと言われています。
『疲れているけど頑張らないと!』『無理をしてでもやらなくちゃ!』そんな心と体に余裕のない生活がさらにPMDDを悪化させてしまう事もあります。
生理前に少しでもPMDDを感じる場合は生活養生や漢方薬で早めに解決することを勧めています。