不正出血と漢方
『生理でもないのに出血がある』
『生理の出血が止まらずに続いている』
このような出血は実に女性の6割が経験しているとも言われています。
しかし、病院で診察を受けても『原因』が分からず、とりあえずホルモン剤で調整することが多いです。
このように西洋医学的に原因が分かりにくい場合は中医学・漢方によるアプローチを試し見てみる価値はあると思います。
なぜなら中医学・漢方では不正出血を崩漏(ほうろう)と呼び、様々なアプローチが研究されているからです。
中医学・漢方における不正出血の原因
主な原因は2つ考えられます。
それが、脾不統血(ひふとうけつ)・血熱(けつねつ)です。
脾不統血
中医学・漢方において気の働きの1つに『固摂作用』というものがあります。
これは血が血管外へ漏れ出さないように統制し、汗、尿、精液など漏れないようにする働きです。そのため、気が不足すると血が漏れ出る、すなわち不正出血になると考えます。
五臓の中で脾は『気血生化の源』とも言われ、脾が弱い人は気血が不足し、不正出血になる、という考え方が脾不統血です。
脾不統血が起きている人の特徴は
- 疲れやすい
- 食欲がない
- 便が緩い
- 眠りが浅い
- 多夢
- あざができやすい
- 立ち眩み
- 眩暈
- 物忘れ
- 疲労時に出血する
などが挙げられます。
この場合は脾を丈夫にしながら気血を増やす漢方薬がお勧めです。
冷たい食事、消化の悪い食事を控える事も大切です。
血熱
血熱とは体の中に過剰に熱がこもっている状態です。
ストレス過多、味の濃いものを食べ過ぎる、香辛料の強いものを食べ過ぎる、などの生活が続くと体の中に過剰な熱がこもります。
熱がこもると血が動きすぎ、不正出血につながると考えます。
血熱が起きている人の特徴は
- 赤ら顔
- 舌が赤い
- 口渇
- 冷たいものを飲みたがる
- 出血の色は鮮血で量が多い
- 火照りがある
- 生理周期が短い
などが挙げられます。
この場合は清熱涼血薬を使用することをお勧めします。
香辛料や揚げ物、飲酒、たばこ、食べ過ぎに気を付ける事も大切です。
不正出血は内膜症や筋腫、子宮頸がんの可能性を疑うこともあるため、女性にとっては不安な症状の1つです。
病院での検査が最優先ですが、慢性的に続くような場合には中医学や漢方によるアプローチも功を奏することがあります。
何より自分の体質を知るきっかけにもなると思いますので、ぜひ一度、ご相談ください。