不眠に使用される漢方薬 星火温胆湯
星火温胆湯(せいかうんたんとう)は不眠に対し使用される代表的な漢方薬の一つです。
今回は星火温胆湯がどの様な特徴を持つ漢方薬であるかを解説し、そのうえでどのようなタイプの不眠に効果的なのかをご紹介したいと思います。
星火温胆湯とは
星火温胆湯は半夏・茯苓・生姜・陳皮・竹茹・枳実・甘草・黄連・酸棗仁からなる漢方薬です。
基本骨格である温胆湯(半夏・陳皮・茯苓・甘草・枳実・竹茹)は痰熱を除去して胆の働きを安定させます。
さらに清熱瀉火作用のある黄連が入ることでより熱の症状を抑え、酸棗仁を加えることで安神作用を高めています。
温胆湯よりもより熱症状を抑える事に特化しより入眠や睡眠の深さを意識した処方と考えられます。
星火温胆湯が効果的な不眠のタイプ
中医学・漢方の世界において胆は現代の胆嚢の働き(胆汁を貯蔵して小腸に排出し消化を助ける)以外に「決断を主る」という精神活動の働きもあると考えられています。
胆が弱い人は決断力がない、不安を感じやすい、ビクビクするなどの性格的特徴がみられることが多いです。
- 「自由にやりなさい」と言われると何をしていいのか決断できない
- 人前に出るのが苦手
- 「できない」が口癖になっている
という人は胆が弱い「胆寒(たんかん)」の状態になっているかもしれません。
【成方便読】には「胆は清浄の腑たり、出ることなく入ることなく、肝に寄附し、また肝と相い表裏をなす。肝は魂を藏し、夜臥しればすなわち魂は肝に帰す。胆に邪あらば、肝に波及せざることあらんや?」とも書かれています。
不眠の原因となる中心は心と肝ですが、胆の不調が肝に悪影響を与える、という意味で考えると胆の正常な働きも睡眠の質を高めるためには重要です。
また胆に悪影響を与える痰熱はアルコールや揚げ物・味の濃い食事などでも発生することがあります。
痰熱が溜まっている人は
- 心煩(ソワソワと落ち着きがない状態)
- 口苦
- 眩暈
- 頭重感
などの症状が目立つようになります。
この点からも
- イライラや不安感が強い人
- 受験や仕事のストレスが強い人
- お酒や味の濃いものを食べる機会が多い人
- 運動不足で水分代謝が弱い人
の不眠に使用されるケースが多い処方と言えます。
温胆湯は神経症や不眠症に使用される漢方薬です。
温胆湯の効果を高めるためにもアルコールや暴飲暴食、夕ご飯の食べ過ぎには気をつけましょう。
日中は軽く汗をかける疲れない程度の運動心がけ、入浴する時間を大切にしましょう。