不眠に使用される漢方薬 天王補心丹

天王補心丹は不眠によく使われる漢方薬の一つです。
今回は天王補心丹がどの様な特徴を持つ漢方薬であるかを解説し、そのうえでどのようなタイプの不眠に効果的なのかをご紹介したいと思います。

天王補心丹とは

当店で扱っている天王補心丹は地黄・党参・丹参・茯苓・五味子・遠志・桔梗・当帰・天門冬・麦門冬・柏子仁・酸棗仁からなります。
腎陰を補う地黄の量が特に多く、その他の生薬が補佐的に配合されています。
天門冬・麦門冬は心陰を補い虚火を清めます。
丹参・当帰は補血作用と共に安神作用があり、精神を安らかにします。
茯苓は水分代謝を改善するとともに寧心安神の働きがあるため、驚きやすい・ドキドキしやすいなどの精神状態を改善します。
党参は脾肺の働きを高め気血を補います。
酸棗仁・五味子はその酸味で心気を収斂して安神作用を助けます。
柏子仁も養心安神を持ち、遠志は心腎の交通を安定させ、桔梗は薬効を上行させる働きがあります。
このように天王補心丹は【腎水を補う&心火を抑える】を中心に、養心安神の生薬を加えることで睡眠の質を高める処方と言えます。

天王補心丹が効果的な不眠のタイプ

処方の意図から分かるように、天王補心丹が効果的な不眠は腎陰が不足したことで心火を抑えられないタイプと言えます。
腎陰は加齢と共に不足していきますが、特に更年期の女性や喫煙者、暑い場所で仕事をしている人は顕著にみられることが多いです。

  • 頬が赤くなりやすい
  • のぼせやすく暑がりである
  • 手足の裏が熱く感じる事がある
  • 冷たい飲食物を好む
  • 寝汗をかく事がある
  • 口の中や肌が乾燥する
  • 煩躁、怒りっぽい

などの症状が目立つ場合は腎陰が不足し心火が昂っている可能性があります。
この症状は様々な不調を引き起こすことがあるため、人によりその他の付随症状も異なる場合があります。
そのため、火照りなどがとても強い場合は清熱作用のある漢方薬を補助的に加えたり、動悸などがあれば重鎮安神作用のある漢方薬を加えたり、不安が強ければ養心安神作用のある漢方薬を加えても良いでしょう。
この辺りは体質により異なるためカウンセリングの上で、処方を考えると良いですね。

まとめ

天王補心丹は腎陰が不足したことで心火が抑えられない不眠に使用されます。
天王補心丹の効果を高まるためにも香辛料・油っこい物・タバコを控える事はとても重要です。
夏野菜などを中心にサッパリとした味付けを心がけましょう。
また、過度なストレスは心火を昂らせてしまいます。ストレスになる場所、人から距離を置くこともできるといいですね。

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