卵子の老化と漢方薬
女性のホルモンについて
女性ホルモンは初潮のころから徐々に分泌量が増していき、10代後半から30代前半くらいまでにピークを迎えます。
女性ホルモンの分泌が最も活発なのは30歳前後で性成熟期と呼ばれています。そのため30歳前後を過ぎたあたりから妊娠の可能性が徐々に下がっていくと言われているのです。特に40代に入ると老化は加速していきます。
一部のデータでは40歳では妊娠率が20%近くあるのに対して42歳になると約10%にまで下がってしまいます。流産率も40歳では50%程度に対し、42歳では70~80%まで上がるというデータもあるようです。どんなに医学が進んでもこの現状は変わることがありません。
卵巣の老化は漢方薬で止められるのか?
以前、NHK番組にて「卵子の老化」を特集した番組が放送され反響を呼びました。
私の記憶が確かであれば、あの番組をきっかけに朝の情報番組や夜の健康番組でもこの話題が取り上げられだしたのを覚えています。それほど注目度の高い内容でした。
当店にも「AMHが低いと言われた」「卵子が老化している」「卵子の質が良くない」と悩まれているお客様がご来店されます。お客様の中には「AMHを上げたい」「卵子を若返らせたい」という思いで漢方薬の服用をご検討される方もいますが、卵子の老化に直接効果がある漢方薬というのはおそらくないと思われます。
しかしそれは漢方薬を飲むことが無意味ということではありません。事実、日本中で多くの子宝に悩まれている人が漢方薬の服用をきっかけに妊娠されています。大切なことは卵子が順調に育ち、着床しやすい環境を作ることです。妊娠しやすい環境づくりを今回は「血の巡り」の点から考えていきましょう。
卵の成長と瘀血
漢方において瘀血は妊娠を希望するうえで改善するべき体調不良の一つです。
瘀血とは血行不良や血液ドロドロに近い言葉です。
そもそも中医学では子宮を血海と呼んでいて、血の質や流れが大きく関与していると考えらえています。
卵巣が卵を育てる工場と例えるなら、瘀血とは工場に物資を運ぶ車が渋滞に巻き込まれている状態です。
栄養が卵巣に流れにくくなれば、質の良い卵も育ちにくくなります。
そのため、血の流れが悪い状態では妊娠しにくくなると考えます。
瘀血がある人の特徴
- 肩こり
- 強い頭痛
- 冷え
- 生理痛
- 舌の色が暗い
- 顔色が暗い
- 肌が硬い
- 目の下のクマ
- 生理時に血の塊が出る
- 強い生理痛がある
漢方薬とお勧めの食材
瘀血は古来よりたくさんの研究がなされ、様々な処方が考案されてきました。
桂枝茯苓丸や温経湯、冠心Ⅱ号方(冠元顆粒)桃核承気湯、血府逐瘀丸などが有名です。
処方により特徴が異なるので服用の際は必ずご相談ください。
瘀血を改善する食材
- ニラ
- ネギ
- 玉葱
- ナス
- 鯵
- 鰯
- 秋刀魚
- ひじき
- サクランボ
- 桃
- 紅花
晩婚化が進む日本において、生殖の老化予防は男女ともに共通の課題と言えます。
栄養のある血がしっかり流れている体と、そうではない体、老化に差が出てしまうのは当然の事です。
細い血管までしっかりと綺麗な血が流れるように、瘀血対策は若いうちからはじめましょう。