第2子妊活と漢方
妊娠・出産は大量の気血を消耗します。
特に日本では産後すぐに家事や仕事復帰し、出産に伴い消耗した気血を回復しきれないまま生活している人も多くいます。
加齢による生殖能力の低下、そして気血の消耗による疲労、これらが原因で第2子の妊娠に至らないこともあります。
第2子不妊の原因
肝腎虚労
肝腎虚労は肝と腎の働きが低下した状態です。
肝には自律神経系をコントロールするような役割があり、性腺軸(脳と卵巣機能の関係性)にも大きく関わっています。
肝はストレスがかかる生活をしていると機能が乱れる特徴があります。
産後に赤ちゃんが不定期に泣いて十分にまとまった睡眠がとれなかったり、初めての育児で強いストレスを抱えていたり、仕事と育児が並行して休まる時間がなかったりすると、肝の機能が乱れてしまいます。
腎は生殖に関わる臓で、腎虚は卵巣機能の低下に近い考え方です。
腎は加齢と共に衰えていきます。特に高齢で妊娠・出産された方は、第1子が成長し、第2子妊活を始めるころには腎が弱って妊娠がうまくいかない場合があります。
肝腎虚労の特徴的な症状
- 腰が怠い
- 腰痛
- 目の疲れ
- 疲労感
- 性欲の低下
- 不眠
- 弱い頭痛
気血虚弱
気血虚弱は気と血がともに低下している状態です。
気は体や心を動かすエネルギーのような存在であり、血は全身に栄養を与える存在です。
出産は大量の気血を消耗するため、気血がともに不足する気血両虚になりがちです。
『髪血余』という言葉もあり、産後に抜け毛が目立つのもという血の不足が原因です。
本来であれば産後は過剰な労働は控えて、食事を十分にとり、気血の回復に努めるべきですが、なかなか難しい人も多いです。
気が不足することで、生殖機能を『動かす力』が低下し、血が不足することで栄養のある卵が育ちにくくなると考えます。
気血虚弱の特徴的な症状
- 疲労感
- 眩暈
- 立ち眩み
- 軟便
- 浮腫み
- 抜け毛
- 顔色が良くない
- 肌が荒れる
- 息切れ
- 不眠(眠りが浅い)
漢方薬とお勧めの食養生
肝腎虚労
肝腎虚労は肝と腎の働きを高める漢方薬がお勧めです。
おもに六味地黄丸を骨格とした補腎薬が使用されます。補腎薬は補腎陰薬や補腎陽薬など細分化されていて、体質に応じて使い分ける必要があります。
また、疲労感が強い場合は鹿茸などの動物系生薬が入っているものがお勧めです。
肝腎虚労にお勧めの食材
- 牡蠣
- シジミ
- アサリ
- 海藻
- のり
- キウイフルーツ
- アワビ
- クラゲ
- イカ
- 貝柱
- ゴマ
- 黒豆
- キャベツ
- ブロッコリー
- ゴボウ
- サツマイモ
- ブドウ
- 栗
- エビ
- ひじき
- トウモロコシ
- ゴーヤー
- キュウリ
- 大根
- トマト
- 羊肉
- エビ
- 鰻
- ナマコ
- クルミ
- ニラ
- アワビ
- クラゲ
- イカ
- 貝柱
- 豆
- ゴマ
- 小麦
- 山芋
- クルミ
- クコの実
気血両虚
気血両虚は気と血を両方補う漢方薬がお勧めです。
代表的な漢方薬に婦宝当帰膠や十全大補湯、帰脾湯などが挙げられます。
十全大補湯は気血を両方補う代表的な漢方薬です。
婦宝当帰膠は補血作用や活血作用があるので体が温まりやすくなり、産後の女性の体調管理、また、妊活に向けた体質改善の柱として使用されます。
帰脾湯は上記2つの漢方薬に比べると、効果が穏やかな漢方薬です。脾(胃腸に近い)の働きを良くしつつ血を増やしていくため、婦宝当帰膠だと胃もたれする場合はお勧めです。
気血両虚にお勧めの食材
- ニンジン
- ジャガイモ
- サツマイモ
- サトイモ
- 山芋
- 舞茸
- 椎茸
- 肉類全般
- 鰻
- 鱈
- 鮭
- 秋刀魚
- 鯖
- 鰹
- 鰯
- タコ
- イカ
- 米
- 卵
- 小麦
- 生姜
- 赤身の魚全般
- アサリ
- シジミ
- 牡蠣
- ひじき
- ほうれん草
- 小松菜
- 玉葱
- イチゴ
- ブドウ・棗
- 桃
- ライチ
人は常に老化をしていきます。
その中で出産や育児は気血を消耗させ、気が付けば体力気力共に低下してしまう人も珍しくありません。
しっかりと気血を補い、腎の働きを高めることで、第2子妊娠に向けた体質改善をしていきましょう。