AMHと漢方

AMHとは

妊活をされている女性にとってAMHは気になる数値の一つです。
AMHは抗ミュラー管ホルモンと呼ばれ、女性の卵巣予備能が分かる指標になります。
卵巣の中に今後、排卵にむけて発育する卵胞がどのくらいあるのかを知る指標であり、いわゆる【卵巣年齢】と言われるもので、治療方法の判断材料にもなります。

  • AMHの数値が高い→卵巣の中に残っている卵胞の数が多い
  • AMHの数値が低い→卵巣の中に残っている卵胞の数が少ない

と、考えることが出来ます。
そういう意味ではAMHは低いよりも高い方が良いようにも思われますが、年齢と比較してAMHの値があまりに高い人は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性もあります。

ここで重要なのはAMHの値は卵胞の質を表すものではないということです。
「AMHが低いと卵巣年齢が低い、だから卵胞の質も悪い」
と、考えてしまう人がいますが、そうではありません。
実際、AMHの値が低くても漢方薬や生活養生を整える事で妊娠されている方はいます。
しかし、AMHが低いということは【妊活ができる期限が短くなっている】というのも現実です。
そのため、AMHが低い場合は病院・クリニックの指導の元、残っている卵子の質を上げることがより大切と考えられ、その点について漢方薬は大いに貢献できるものと考えています。

焦りは禁物です。
早く結果を出したい、早く妊娠したい。
そのお気持ちはよく分かります。
しかし、原始卵胞が排卵に至るまでにはおよそ180日前後かかるとされています。

そのため、約半年は良い卵胞を育てるために根気よく漢方薬を服用していただきたいと思います。

質の良い卵胞を育てるための漢方

漢方では質の良い卵胞を育てるためには補腎・気血双補・活血が重要と考えます。

補腎

『腎』は、生殖機能や成長、発育、ホルモンの分泌、免疫系全般のコントロールなど生命活動の根本を担っています。
腎の盛衰は女性の場合7の倍数で変化すると考えられ、28歳をピークに下降して行きます。

現代医学において35歳から高齢出産と呼ばれるのも偶然とは言えないかもしれません。
腎が弱くなると質の良い卵胞が育たなかったり、子宮内環境が整わなくなると考えています。
補腎とは腎の働きの低下を補う事です。
7の倍数の理論からも30代からの妊活には補腎は基本となると言っても良いでしょう。
漢方薬では、参茸補血丸・参馬補腎丸・亀鹿仙・杞菊地黄丸・六味地黄丸・八味地黄丸などが有名です。

気血双補

漢方において【気】は心や体を動かすエネルギー、【血】は栄養や潤いに近いものがあります。
日頃から疲れていたり、胃腸虚弱、飲食の不摂生、過労などが重なると気血が不足する気血両虚となり、子宮や卵巣への栄養が不十分で、質の良い卵子が育ちにくい、子宮内膜が薄くて着床しにくい、などの状態になる事があります。
気血双補とは「気血を補う」という考え方です。
漢方薬では婦宝当帰膠・帰脾湯・十全大補湯などが有名です。

活血

気血が十分あり、腎の状態が良くても血行不良が原因で妊娠に至らないこともあります。
漢方では瘀血と呼ばれ、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などの婦人科疾患、不妊の原因になる場合があります。
漢方薬では冠元顆粒などが有名ですが、体質に応じて処方は選ぶ必要があります。

まとめ

原始卵胞から前胞状卵胞までは4ヶ月以上かけてゆっくりと到達します。
AMHが低いと焦ってしまう事もあると思います。
しかし、確実に良い方向へ向かうためにも自分の体質に合った漢方薬・生活養生を半年間は継続していきましょう。
悩む事も多いと思いますが、良い結果に向かって一緒に進んでいきたいと思います。
お気軽にご相談ください。

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