無排卵と漢方
無排卵とは字のごとく『排卵がない状態』を指します。
一般的には生理が始まると同時に卵胞の成長が始まりおおよそ14日間程度で、卵巣から飛び出します。
無排卵の厄介な点は定期的もしくは不定期に出血がある無排卵月経のタイプです。
このタイプだと、『出血があるのだから排卵もしているのだろう』と思ってしまう人も多いです。
妊活をされている人の中には病院での治療や検査に抵抗感がある人もいます。
無排卵月経だと排卵していない事に気が付かないまま妊活をしている可能性もあるため、注意が必要です。
無排卵月経には主に以下のような特徴があります。
- 出血がダラダラと続く
- 出血量は少なめ
- 出血周期が不安定
- 月に2回出血がある事も
- 基礎体温が変化しない(高温期、低温期がない)
このような特徴がある場合、一度、病院で検査を受けることをお勧めします。
無排卵月経の原因としては主に
- 黄体化未破裂卵胞症候群(LUF)
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 卵巣機能の低下
- 高プロラクチン血症
- ダイエット
- FSHの異常
などが挙げられます。
無排卵と漢方
漢方では無排卵の状態を腎虚(じんきょ)、気血両虚(きけつりょうきょ)、気滞血瘀(きたいけつお)を考えます。
腎虚(じんきょ)
腎とは生殖器の働きに近いものと考えます。
腎虚とは現代的に言えば『生殖器の働きが低下した状態』と言っても良いでしょう。
『人の老化は腎の老化』ともいわれ、一般的に加齢によって腎は衰えていきます。
高齢での妊活の場合、腎の働きを補うことは最重要ですが、若年でも体質的に腎が弱い人もいます。
腎虚がある人は主に
- 足腰の怠さ
- 性欲の低下
- 生殖機能の低下
- 気力体力の低下
などの症状が目立ちます。
これらの症状が目立つ場合、腎を補う補腎薬を服用すると良いでしょう。
気血両虚(きけつりょうきょ)
気血両虚とは気と血が両方とも低下した状態を指します。
気とは心や体を動かすエネルギーのような存在、血とは心と体を養う存在と考えて良いでしょう。
卵巣を元気に働かせる気、質の良い卵胞を育てるための血、その両方が不足してしまうと、卵胞の発育が悪くなると考えます。
気血両虚がある人は主に
- 疲労感
- 目の疲れ
- 髪のパサつき
- 顔色が白いもしくは萎黄色
- 不眠
- 無気力
- 眩暈
- 立ち眩み
- 爪の色が薄い
などの特徴があります。
基本的に疲労を感じやすい人は気血両虚と考えて良いでしょう。
気滞血瘀(きたいけつお)
気滞血瘀とはストレスなどにより気の巡りが悪くなり、その影響で血の巡りも悪くなる状態です。
気血両虚と同様に、気滞血瘀になると卵巣や卵胞に十分な気血が届かなくなり、排卵を起こす力が低下してしまいます。
気滞血瘀がある人は主に
- イライラ
- 鬱々感
- お腹の張り
- 生理前の胸の張り
- 目の下のクマ
- 唇の色が暗い
- 生理痛が強い
- 経血にドロッとした塊がでる
などの特徴があります。
以上のように、腎虚がある場合は腎の働きを良くする補腎薬を、気血両虚がある場合は気血双補薬を、気滞血瘀がある場合は、行気活血薬を選択します。
これらの原因は複合に敵になっている場合も多く、また、具体的な漢方薬は体質や状況に応じて選定する必要があるため、自己判断が難しいものです。
必ずご相談ください。
漢方的な原因をみると、現代人が直面しがちなものが多いことに気が付きます。
高齢での妊活、疲労状態、ストレス過多は無排卵の引き金になりかねません。
漢方は体質を改善することが得意です。
生活改善と共にぜひ漢方を取り入れてみてくださいね。