高温期が短い場合(9日未満)の漢方
基礎体温―高温期が短い場合の問題点と改善方法―
高温期とは排卵後、プロゲステロン(黄体ホルモン)によって体温が上昇し、内膜も厚くなることで受精卵が着床しやすい環境になる時期です。
高温期中期のプロゲステロンの値は10~20ng/mlが理想的とされています。
妊娠を望まれている場合、高温期は最低でも10日間以上は欲しいところです。
しかし、高温期が短い人は9日未満になってしまいます。
この場合、黄体の質(状態)が悪くプロゲステロンの分泌が足りないことが考えられます。
これでは着床もしにくく、妊娠の継続も難しくなってしまいます。
高温期が短くなる要因は様々あります。
- 黄体機能不全
- 高プロラクチン血症
- 多嚢胞性卵巣
などが挙げられます。
西洋医学では黄体ホルモンを補う薬(ヒスロン、デュファストンなど)や黄体・卵胞混合ホルモン剤(プラノバール、ソフィアなど)を用いて、高温期の安定を図ることが一般的ですが、不足を補っているため根本的に『良くなる』とは言い難いところです。
また高温期が短い場合は
- 低温期が20日以上かかる
- 排卵後の体温上昇に3日以上かかる
- 高温期と低温期の差が0.3℃未満
などの特徴がみられる場合は注意が必要です。
卵巣の機能が低下し、卵胞の質も低下している可能性があり、受精も難しくなることもあります。
高温期が短くなる漢方的原因
腎陽虚(じんようきょ)
腎陽虚とは腎(卵巣)の陽(活動力や温める力)が虚(低下)している状態を指します。
腎には『人の老化は腎の老化』という言葉もあるほど、人の老化や生殖にとても密接にかかわっています。
女性は7の倍数で変化すると考えられ、28歳が腎(卵巣)のピークと考えられています。
28歳を過ぎると徐々に腎(卵巣)の働きが低下し35歳あたりになると卵巣の衰えを実感することが増えてきます。
腎は生まれつきの精力(先天の精)と、生まれた後の食事や生活によって得られる精力(後天の精)の合算により強さが決まります。
睡眠不足、栄養バランスの悪い食事、ストレス、性生活過多、運動不足、血流の悪化などは後天の精を作る力が低下してしまいます。
そのため、女性は28歳を過ぎたら腎の働きを良くする漢方薬を服用しつつ、生活の養生も徹底することが妊活において最も重要です。
腎陽虚に多く見られる症状として
- 手足が冷たい
- 足腰が怠い
- 意欲が湧かない
- 夜中にトイレで起きる
などが挙げられます。
これらの症状が目立つ場合は鹿茸などが配合されているような補腎陽薬を選択しましょう。
気血両虚(きけつりょうきょ)
気血両虚とは気と血が両方とも不足した状態です。
高温期が短いと『高温期だけの問題』と思いがちですが、低温期に質の良い卵胞がしっかりと育っていれば、おのずと質の良い黄体が形成されるため、プロゲステロンの分泌が良くなり高温期が安定します。
漢方において質の良い卵胞を育てるには卵巣に十分な量の気血が送られていることが重要と考えています。
睡眠不足、過労、食事制限によるダイエット、偏った食事、胃腸虚弱などにより気血が不足すると質の良い卵胞が育てられず、結果的に高温期が短くなってしまうのです。
気血両虚に多く見られる症状として
- 無気力
- 疲労倦怠感
- 顔色が優れない
- 睡眠の質が悪い
- 立ち眩み
- マイナス思考
- 引っ込み思案
- 声が小さい(声を出すのが疲れる事もある)
などが挙げられます。
程度の差こそあれ、不妊のご相談のお客様には多い体調不良の一つです。
この場合は気血両補薬と呼ばれる漢方薬を服用すると同時に生活習慣の見直しも大切になってきます。
高温期が短い人は冷え性で元気がなく、疲れている人が多いです。
このような体質の人って本当に多いですよね。
不妊治療は妊娠がゴールではありません。出産、そして育児と進んでいきます。
体が冷えていたり、活力がない状態では妊娠・出産・育児に良い状態とは言えないでしょう。
まずは基礎体温を測る事からスタートしましょう。
そしてぜひご来店時にご持参ください。
カウンセリングを通じて体質を改善し、素敵な妊活のお手伝いをさせていただきたいと思います。