低温期が長い場合(20日以上)の漢方
基礎体温―低温気が長い場合の問題点と改善方法―
低温期とは生理が来てから排卵するまでの期間を指します。
この期間は卵胞が成熟する期間であり、低温期が長いということは、卵胞を成熟させるまでに時間がかかってしまっているということです。
これはすなわち卵巣の【卵胞を成熟させる力】が低下しているのかもしれません。
低温気が長くなる要因は様々あります。
- 加齢による卵巣機能の低下
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 高プロラクチン血症
- 疲労
などが挙げられます。
西洋医学では排卵誘発剤などを用いる事が多いですが、卵巣そのものが弱っていると、空胞になってしまったり、質の良い卵胞ができなかったりする場合もあります。
特に
- 低温期が20日以上かかる
- 高温期が9日未満
- 低温期と高温期の温度差が0.3℃に満たない
このような場合は要注意です。
卵胞の質が低下している可能性だけではなく、着床する力も低下している可能性を考えます。
低温気が長くなる2つの漢方的原因
腎陽虚(じんようきょ)
腎陽虚とは腎(卵巣)の陽(活動力や温める力)が虚(低下)している状態を指します。
腎には『人の老化は腎の老化』という言葉もあるほど、人の老化や生殖にとても密接にかかわっています。
女性は7の倍数で変化すると考えられ、28歳が腎(卵巣)のピークと考えられています。
28歳を過ぎると徐々に腎(卵巣)の働きが低下し35歳あたりになると卵巣の衰えを実感することが増えてきます。
腎は生まれつきの精力(先天の精)と、生まれた後の食事や生活によって得られる精力(後天の精)の合算により強さが決まります。
そのため、腎の働きを良くする漢方薬である補腎薬は妊活において最も重要です。
腎陽虚体質に多く見られる症状として
- 手足が冷たい
- 足腰が怠い
- 意欲が湧かない
- 夜中にトイレで起きる
などが挙げられます。
これらの症状が目立つ場合は鹿茸などが配合されているような補腎陽薬を選択しましょう。
気滞血瘀(きたいけつお)
気滞血瘀とは簡単に言えばストレス&血行不良です。
腎(卵巣)が正常に動くためには、腎に栄養である血、エネルギーである気がしっかりと流入することが大切です。
睡眠不足や運動不足、ストレス過多な生活は気と血の巡りを悪くしてしまいます。
そのため、腎に十分な気血が流入せず、正常に働かなくなってしまうのです。
特に睡眠に関しては睡眠時間が6時間を切ると卵巣を動かすホルモンの分泌が20%程度低下した、というデータもあるなど注意が必要です。
- 生理の時の経血にドロッとした塊が出る
- 経血の色が暗い
- 生理痛が強い
- 生理前に胸が張る
- 頭痛がある
- イライラや鬱々が強い
- 肌のしみ、目の下のクマなどがある
このような症状が当てはまる人は気滞血瘀の可能性が高いです。
この場合は行気活血薬と呼ばれる気血の巡りを改善する漢方薬を服用すると同時に生活習慣の見直しも必要となります。
漢方で体を変える、それは人生が変わるという事
妊活のために何をしたらよいのか?
ステレオタイプの情報はネットの世界にたくさん溢れています。
しかし、【自分の体質を考慮した事】となるとかなり難しく感じてしまうと思います。
漢方相談は単に漢方薬を飲むための相談ではありません。
自分の体質を確認し、生活習慣の改善を一緒にしていく事もとても重要です。
どうか一人で悩まずにご相談ください。
生活が変われば体も変わり、体が変われば心も変わり、心が変われば人生が変わります。
腎(卵巣)の力を高め、気血の巡りを良くして妊娠しやすい体質を作っていきましょう。