秋冬の乾燥肌と漢方
秋になると多くなる相秋冬は空気が乾燥し、乾燥肌の相談が急増します。
乾燥肌対策には一般的にローションやクリームによるスキンケアが一般的ですが、漢方では体質的な要因で起こる乾燥肌もあると考えます。
今回は季節の影響からくる乾燥肌と体質からくる乾燥肌の原因と対策を考えていきます。
乾燥肌を起こす原因
風燥邪と風寒邪
風燥邪とは風邪と燥邪が組み合わさった邪気、風寒邪とは風邪と寒邪が組み合わさった邪気です。
いわゆる秋冬特有の『乾いた冷たい風』が引き起こす乾燥肌と考えて良いでしょう。
風邪には他の邪気を引き連れて体内に侵入する特徴があります。
寒邪を引き連れて侵入すると、気血の巡りを悪化させ皮膚に栄養や潤いが伝わりにくくなります。
燥邪を引き連れて侵入すると、皮膚そのものを乾燥させます。
つまりこの2つの邪気に侵されると皮膚そのものの乾燥に加え、潤いや栄養も行き届きにくくなると考えます。
冷たい風が強く吹く日に屋外で活動される人は風燥邪や風寒邪の影響を強く受けます。
風燥邪・風寒邪に特徴的な症状
- 痒みがある
- 風邪をひきやすい
- 疲労感がある
- 冷える
- 頭痛
瘀血
瘀血とは血行不良や血液ドロドロに近い考えです。
慢性的な血行不良も乾燥肌の原因になります。
血は肌に栄養や潤いを与える一方で老廃物の除去なども行っています。
そのため、血の流れが悪くなると栄養や潤いが行き届かず、老廃物も除去されにくくなり、肌質が悪くなります。
秋冬は気温が低下し運動をする機会も減ることで、血流が悪化しやすくなります。
瘀血に特徴的な症状
- 肌にシミができやすい
- 肌に艶がない
- 皮膚が黒ずむ
- 頭痛
- 肩こり
- 生理痛が強い
- 顔色が悪い
- 目の下にクマができやすい
- 経血に塊が出る
- 便が黒っぽい
【漢方薬とお勧めの食養生】
風燥邪・風寒邪
風燥邪と風寒邪は風に当たらないことが大切で、マフラーや帽子、マスクなどを着用することがとても大切です。
それでも寒冷性蕁麻疹のような痒みが起きた場合は、十味敗毒湯がお勧めです。
この漢方薬はあくまでも痒みの初期に使用し、慢性的に痒みがある場合は潤いや血が不足していることもあるため、当帰飲子や婦宝当帰膠などが良いでしょう。
風燥邪・風寒邪にお勧めの食材
- 白菜
- ほうれん草
- 小松菜
- アスパラガス
- 大根
- キュウリ
- トマト
- サトイモ
- 百合根
- パイナップル
- 梨
- スイカ
- レモン
- チーズ
- 白ごま
瘀血
瘀血は血流を改善する漢方薬をお勧めします。
代表的な漢方薬に温経湯、冠元顆粒、桂枝茯苓丸などが挙げられます。
気と血は流れが並行する(気血船同)の考えから、気の巡りを良くする漢方薬と併用するのも有効です。
血流を良くする漢方薬に四物湯や婦宝当帰膠など補血作用のある漢方薬を併せるとより効果的です。
瘀血にお勧めの食材
- 鯵
- 鰯
- 秋刀魚
- 桃
- ネギ
- たまねぎ
- ニラ
- ひじき
- 紅花
栃木県は山から吹き下ろす乾いた風が強く、乾燥による体調不良が起こりやすい土地柄です。
体に潤いを与える食材を食べつつ、適度に運動して血流を良くすることが乾燥に負けない肌つくりになります。
なかなか難しい場合は漢方薬で補うと良いでしょう。