体のどこで水が停滞しているのかを知りましょう
こんにちは、宇都宮市・天明堂薬局の中山です。
今日は午前中、リビング新聞社で漢方講座を担当してきました。
会場まで自転車で行ったのですが、太陽の日差しはすでに災害級!
頭をジリジリと焼き、気を抜けば危うくふらつきそうな暑さでした。
農作業や道路工事など屋外で活動されている方は十分に気をつけてください。
さて、そんな暑い日が続くと積極的な水分補給が必要になりますが、なんでも【適正量】というのがあるように、過剰な水分補給はかえって体調を悪くしてしまう場合があります。
過剰に溜まった水分を改善するため利尿作用のある五苓散を服用するケースが多いですが、実は【体のどこに水が停滞しているか?】によって原因は異なり、使用される漢方薬は変わってきます。
今回は体のどこで水分が停滞しているか?とそれに使われる漢方薬をご紹介いたします。
体を3つに分けよう
漢方や中医学の世界では、体を上焦・中焦・下焦に分けて考えます。
・上焦…肺の位置から上
・中焦…肺から腎より上
・下焦…腎を含めた下
という具合です。
上焦の水が停滞すると頭重感や顔面の浮腫み、痰が絡む、などの症状が目立つようになります。
中焦の水が停滞すると胃のムカつきや食欲低下、吐き気、四肢の脱力感が目立つようになります。
下焦の水が停滞すると下半身の浮腫みや小便が出にくい、下半身の冷えや重怠さが目立つようになります。
このように、どこで水が停滞しているかによって症状は異なります。
そのため、使用される漢方薬も変わってくるのです。
上焦の水を改善する有名な漢方薬には小青竜湯や越脾湯などが挙げられます。
小青竜湯は花粉症の薬、と認識されがちですが、本来は上焦に溜まった水を温めながら流すのが目的です。
そのため、小青竜湯を花粉症の改善で使用する場合は【透明な水っぱなで、冷え性】であることが条件です。
目の痒みや赤み、痛みのような炎症反応はかえって悪化させてしまう場合もあるので要注意です。
中焦の水を改善する有名な漢方薬には苓桂朮甘湯や勝湿顆粒が挙げられます。
どちらも脾胃の働きを良くしながらお腹周りの水の流れを改善するので、夏場に冷飲冷食が増える人には重宝する漢方薬です。
夏バテ予防の漢方として少しお薬箱に入れておくと便利です。
下焦の水を改善する有名な漢方薬には五苓散があります。
先にも書いたように五苓散は水分代謝を改善する漢方薬として認知度が高いですが、あくまでも下焦の水分代謝を改善する処方です。
まとめ
一口に【浮腫み】【水分代謝の低下】と言っても、【どこで発生しているか?】によって原因は異なり、それゆえに処方も変わってきます。
たかが浮腫み、されど浮腫み。
漢方薬を服用する際は必ずご相談くださいね!