漢方 『浮腫み』は『どこ?』も重要
こんにちわ、宇都宮市・天明堂薬局の中山です。
梅雨時期は湿度が高いため、水分代謝が低下します。
そこからくる代表的な体調不良に『浮腫み』があるのですが、浮腫みは『どこで発生しているか?』によっても対処法が変わるので注意が必要です。
パターン①『胸から上が浮腫む』
漢方において上焦、つまり胸から上が浮腫む場合は五臓の中の『肺』の弱りを考えます。
漢方における肺は呼吸系以外にも、全身の水分代謝に関与する場所と考えられ、『水道を主る』と言われています。
加齢や運動不足、たばこ、先天性の肺の弱さがあると喉元付近に水が停滞しやすくなるため、『痰が絡む』『顔が浮腫む』などの症状が目立ちます。
このように上焦の浮腫みが目立つ場合は肺を強化する漢方を服用しつつジョギングなど心肺を鍛えるような運動をすると良いでしょう。
パターン②『お腹周りが浮腫む』
漢方において中焦(腹部あたり)が浮腫む場合は脾、つまり消化器系の弱りを考えます。
脾は食べたものを消化し気血水を生成する場所です。
そのため、脾が弱ると食べ物を消化する力が低下し食べたものがお腹に留まりやすくなります。『脾は湿を嫌う』という言葉もあり、過剰な水分や生もの、お腹を冷やす飲食をする人に目立ちます。
このように中焦の浮腫みが目立つ場合は脾胃を温め水分代謝を改善する漢方薬を服用しつつ、温かい飲食を心がけることが重要です。
パターン③『下半身の浮腫み』
浮腫みの中で一番多いのが下半身の浮腫みです。
この原因はデスクワークが定着し、下半身の筋力が低下している人が増えてきているからだと思います。
下にたまった水を筋肉のポンプ機能で上昇させたいのですが、その力が低下しています。
漢方においては下焦(下半身)の浮腫みは腎の弱りを考えます。
腎は体の余分な水を尿として排泄したり、必要な水分は再吸収し全身に回します。
腎の弱りは脾の弱り、さらには肺の弱りも招くため、浮腫みの症状が重くなる傾向があります。
さらに厄介なことに漢方には『人の老化は腎の老化』という言葉もあり、加齢と共に腎が衰える事は避けられません。
この場合は腎の働きを良くする漢方薬を中心に、散歩やジョギングを心がけ、温かい飲食をとることが大切です。
このように浮腫みは『どこで発生しているか?』までこまかく考える必要があり、それによって使われる漢方薬も異なります。
『浮腫みと言えば○○』という安易な考えだと副作用を招くこともあるので十分に注意してくださいね。