産後の母乳不足に対する漢方アプローチ
こんにちわ、天明堂薬局の中山です
今日は産後の母乳の出が悪い人の改善方法についてです。
産後の母乳の出が悪い、というのは数こそ多くはないですが、毎月ある相談内容の一つです。
ネットや雑誌にも民間療法など様々な対策が記載されていますが、今回は漢方的に考えて書いてみたいと思います。
まず、漢方の世界には「乳は血の余り」という考え方があります。
良い乳を出すためには母体に十分な血があることが大切ということです。
出産に伴う気血の消耗、そして育児疲労からくる気血不足が長引くことで乳の出が悪くなることがあります。
また、精神的ストレスが高まることで経絡の流れが悪くなり、乳が出にくくなることがあります。
少し難しく書いてしまいましたが、ようするに
・産後に体力が落ちたり、休養を取らない→良い乳の生成が出来ない
・ストレスのかかった生活が続く→乳の出が悪くなる
この2つの条件が重要です。
そのため、産後に良い乳を与えるには気血を補う事とストレスを緩和させることが大切になります。
食事の面でいえば、栄養バランスが良く、消化の良い食事を心がけることです。
脂っこいものや冷たいものをとりすぎると脾胃の動きが悪くなります。
脾胃の動きが悪くなると食べたものを消化する力や吸収する力が衰えてしまうため、上手に気血を生成することが出来なくなります。
育児をしながらの食事だとついつい忙しく食べてしまいがちですが、できればよく噛んでほしいですね。
精神的なストレスの緩和はなかなか難しいですよね。
子供を育てるということは喜びでもありますが、気を使ったり心配したりと気が張る時間が長くなるものです。
また睡眠時間が十分に取れなかったり、1日のリズムが崩れてしまうのもストレスが溜まる要因です。
ストレスに関しては積極的に誰かと話したり、歌を歌ったりして溜まっている気を発散することが重要です。
これは周りのご家族の協力が必要不可欠かもしれません。
上記の2点が生活の養生になりますが、なかなか改善が見られない場合は漢方薬を上手に使うことをお勧めします。
気血の生成に重きを置くのであれば、婦宝当帰膠や十全大補湯などが良いでしょう。
胃腸虚弱が気になり、食欲不振、消化不良などがあれば補中益気湯や星火健胃顆粒、星火健脾顆粒などもお勧めです。
精神的なストレスが強いのであれば加味逍遙散などが定番かもしれませんが、冷え性などが気になるのであれば逍遥散という選択肢もあると思います。
気血の生成とストレスの軽減が良い乳にとってとても重要です。
その良い乳が子の栄養となります。
良い子育てのためにも漢方の理論を試してみてください。