良い卵胞を育てるための漢方的な考え方
こんにちわ、天明堂薬局の中山です。
当店は来店されるお客様のご相談の7割ほどが妊活です。
その中で、採卵するけど良い卵が取れにくい、採卵数のわりに受精する数が少ない、そもそも採卵できる数が少ない、などのお悩みも多いです。
中医学的には体質やその時の治療状況、季節などあらゆることを考慮して漢方薬のご提案をさせていただいておりますが、柱になる重要な体質改善もございます。
今回のブログは良い卵胞が育つための基本的な体質改善のお話をしたいと思います。
【ポイントは活血&養血&補腎&行気】
活血(かっけつ)
活血とは今風に言えば血流改善に近いものです。
中医学において血は『温める作用』『栄養を与える作用』『精神を安定させる作用』があるとされています。
つまり血の働きが不十分だと『体が冷えて、体に栄養が行き届きにくく、メンタル的に不安定』という状態を招きます。
血流が悪いと卵巣に十分な栄養が行き届きにくくなると考えています。
血流が良くない状態を瘀血(おけつ)と呼びますが、瘀血の状態の人は
生理の時に血の塊が出る 強い生理痛がある 経血の色が黒っぽい
などの特徴が出ますので、生理の状態を確認しましょう
養血(ようけつ)
養血とは今風に言えば血の質を良くしよう、というものです。
中医学では血はただ量があって十分に流れていればよいというものではなく、血の働きも十分でなくてはならない、と考えます。
つまり西洋医学的に『貧血』ではなくても、血の働きが不十分であれば、中医学では『血虚』と判断されます。
活血がうまくいっても、卵巣に流れる血の質が良くなくては十分な栄養が届くとは考えられません。
血虚の人に多く見られる特徴は
疲れやすい 眠りの質が良くない 髪の毛がパサつく&細い 爪がもろい 肌が乾燥する めまい 立ち眩み
などがあります。
多くの女性は生理により出血してしまい、また男性ほど食事量も多くない&運動しない、という点から血虚になりがちです。
補腎(ほじん)
補腎とは今風に言えば生殖能力を高めよう、というものです。
加齢とともにどうしても避けられないのが生殖能力の低下です。
西洋医学的にも加齢とともに妊娠率の低下や流産率の上昇がみられていますが、中医学においても女性は7の倍数で体が変化すると考えられ、35歳を超えると妊娠率が下がっていくことが古来より言い伝えられています。
腎とはざっくり言うと生殖能力(厳密にはそれだけではないですが…)を表します。
つまり、人は加齢とともに腎が衰える『腎虚』の状態になります。
どんな血の質を良くして、血流が良くなったとしても、生殖能力そのものが低下していては妊娠力が高まるとは言えません。
腎の働きを高める補腎薬は30代に入ったら考えていくと良いでしょう。
行気(こうき)
行気とは今風に言えばストレスのない心身にしよう、というものです。
気とはエネルギーのようなもので、気は停滞することなく体を流れることが大切です。
気の流れが悪くなると鬱やイライラ、胸の張り、お腹の張り、こめかみの頭痛などを起こしやすくなります。
ストレスが過剰にかかっていると性腺軸と呼ばれる一連の生理活動が乱れてしまいます。
特に妊活中の方はストレスを感じやすいですし、仕事の忙しさなども相まってストレスが妊活に悪影響を及ぼしている例が多いです。
【まとめ】
中医学的な用語を使って説明しましたが、簡潔にまとめると
血の質を良くして血流を改善し、ストレスを軽減して、生殖能力を高める事
が、妊活にはとても重要です。
具体的な漢方薬などは冒頭でも書いたように体質や生活環境、季節などを踏まえて選択するため、必ずご相談の上、選択するのが良いでしょう。