更年期障害も漢方的には大きく2つの種類があります その①
こんにちわ、天明堂薬局の中山です。
今回のブログテーマは更年期障害について。
当店でもご相談件数が比較的多い内容です。
テレビCMでも『更年期障害による浮腫み』とか『更年期障害によるイライラ』など目立ちますよね。
特に女性は生理の関係上、更年期障害は避けられないため、上手に回避する必要があります。
今回はそんな更年期障害についてなのですが、ここで重要なポイントが一つあります。
それは更年期障害って
大きく2パターンに分けられる
ということです。
つまり更年期障害を改善する方法も
大きく2パターンにわけられる
ということです。
そう、テレビCMで紹介されているお薬は決して誰にでも効果があるわけではないのです。
今回から2回に分けてその2パターンの更年期障害のご紹介と対策法を書いていきます。
今回は更年期障害の定番ともいえる「腎陰虚」タイプについてです。
腎陰虚は「じんいんきょ」と読みます。漢方的に読み砕くと「腎の陰が虚(不足)した状態」ということになるのですが、
漢方用語はなかなか難しいですよね。
腎とは生殖や成長、ホルモンに関わる臓なのですが、更年期に入ると腎が急激に弱りだします。
この腎が弱くなってきた状態を腎虚(じんきょ)と呼びます。
陰とは「体の水分や潤い」とか「陽とバランスをなすもの」だと思ってください(←本当はこんなシンプルなものではないです)。
つまり腎陰虚になると潤い不足&水不足になるため、
目や皮膚、陰部などが乾燥するという自覚症状が表れます。
また陽とバランスをなすものであるため、陰が不足すればバランス的に陽が高い状態になります。
陽の状態に偏ると火照り、イライラ、不眠、目の疲れ、汗をかく、便秘
などの症状が出やすくなります。
おそらくTVCMなどで表現されている更年期障害は腎陰虚タイプであると考えられます。
このタイプの人は辛いもの、油っこいもの食べすぎは控えるべきです。
辛いものや油っこいものは体に熱(陽)を発生させるため、陰が不足し陽が高まっている人が食べるとさらに陽に傾いてしまいます。
実際に店頭で、腎陰虚タイプの更年期障害でイライラと焦燥感、不眠が強く出ているのに、「ダイエットにはカプサイシンが良いと聞いたから、毎食トウガラシを食べている」という事例がありました。
これでは悪化するのは当然のことです。
また、アルコールも度数の高いものや飲みすぎは注意が必要です。アルコールも心を興奮させ陽に傾けるので飲みすぎには気をつけましょう。
逆にほてりやのぼせなど熱感の症状が強く出ているのであれば、トマトやキュウリ、豆腐、蕎麦、緑茶、スイカなど夏に代表されるような食材や食事をお勧めします。
夏の食材や食事は体の熱を体外に逃がし、陰(潤い)を補うものが多くあります。
食事だけではなかなか良くならないようであれば、漢方薬の服用をお勧めします。
代表的な漢方薬には瀉火補腎丸や天王補心丹、杞菊地黄丸などがありますが、これは本当にごく1例です。
厳密には更年期障害の「熱」の症状の出方によって内容を変えたり、また補助的に他の漢方薬を合わせることもあります。
自分のタイプなどを正確に判断するためにも、やはり専門家の相談の上、漢方薬は決めたほうが良いでしょう。
というわけで、今回は腎陰虚タイプの更年期障害について書いてみました。
いわゆる皆さんが良く知っている更年期障害のタイプでしたが、それでも体質によって薬を使い分けなくてはなりませんし、漢方薬を飲むだけじゃなくて食事なども気を付ける必要があることが分かりましたね。
次回のブログでは『実は意外に多い?腎陽虚タイプの更年期障害』について書いてみたいと思います。