不眠の原因をシリーズで解説その①
こんにちわ、宇都宮市・天明堂薬局の中山です。
今回から数回にわたり不眠について漢方的解説を書いていきたいと思います。
中医学の古文では不眠について「不得眠」(眠りを得ず)と書かれており、昔から不眠に悩まされてきた人が多かったことが推測されます。
そのため、不眠については多くの研究がなされており、その原因は現代人にも多く当てはまります。
今回は特に女性に多い不眠の原因について書いていきたいと思います。
「疲れすぎて眠れない」「体力がなくて眠れない」
このようなご相談をされるお客様の体質として考えられるのが
心脾両虚です。
心脾両虚とは『心と脾が両方ともに虚弱な状態』を指します。
少し難しい表現ですが、五臓の中の心には、心臓としての機能以外に脳のような役割もあると考えられています。
気力の低下や血の不足が原因で「心」が十分に養われていないと「心不蔵神」という状態が起こり不安や恐怖、落ち着きを失い不眠になります。
また脾は食事から気と血を生成する重要な臓です。
脾が弱くなると気血の生成がうまくいかなくなり、心を養うこともできなくなります。
この原因は圧倒的に女性に多く、加齢や産後など体力が落ちている時に起こります。
・明日会社だと不安になって眠れない
・眩暈やふらつきなどがあって横になりたいのに眠れない
・食欲がなくて元気もないのに眠れない
そんなご相談がとても多いです。
このように心脾両虚が原因による不安・不眠には心と脾を元気にする漢方薬がお勧めです。
代表的なものに帰脾湯や甘麦大棗湯などがありますが、厳密には体質を考慮して選ぶべきです。
食事のアドバイスとしては大根おろしやキャベツの千切り、生姜やネギ、ニラなど消化を助けたり胃を温める食材をとることです。
先にも書いたように心を養うだけの気と血が不足しているので、その生成をする消化器系を助ける食材がお勧めです。
気血を無理に増やそうと大食いになるとかえって消化器系を傷めてしまう事があるので要注意です。