不眠の原因は一つじゃない。漢方的不眠原因について
中医学の古文では不眠について「不得眠」(眠りを得ず)と書かれており、昔から不眠に悩まされてきた人が多かったことが推測されます。
そのため、不眠については多くの研究がなされており、その原因は現代人にも多く当てはまります。
今回は中医学的な不眠原因を紹介したいと思います。
不眠には大きく分けて6つの原因が考えられます。
タイプ1 思い悩み不眠
「嫌なことがあって眠れない」「怒りが込み上げて眠れない」「不安なことがあって眠れない」おそらくこのような経験は誰でもあるのではないでしょうか?
中医学では「怒れば気が上がり、喜べば気が緩み、悲しめば気が消え、…思えば気は結ばれる」と考えられ、過度な精神活動は体調に大きく影響します。
特に不眠に影響を与える感情は「憂・怒・思・悲」です。
そしてこの4つの感情によって乱される臓腑が心・肝・脾になります。
情緒の変化により心・肝・脾が機能を乱すことで不眠を引き起こします。
タイプ2 疲れすぎ不眠
「疲れすぎて眠れない」「体力がなくて眠れない」このようなタイプの不眠に多いのが心脾両虚の不眠です。
少し難しい表現ですが、血には内臓に栄養を与える(養う)役割があります。
五臓の中の「心」が十分に養われていないと「心不蔵神」という状態が起こり心を穏やかにすることができず不眠になります。
この原因は圧倒的に女性に多く、加齢や産後など体力が落ちている時に起こります。
タイプ3 更年期不眠
一般的に年配の方に多く見られるタイプの不眠です。
心は火(興奮)の特徴があり、腎は水(冷静)の特徴があります。
心腎不交とは「心(火)と腎(水)のバランスが乱れた状態」です。年を取るとしわが増えるように腎(水)が衰えてきます。
すると心(火)を抑えることができなくなります。
火は心身を興奮させるため、眠り(冷静)につくことが困難になってきます。
年配の人でなくても体質(火照り症)や生活環境(暑い地域 暑い時期)で心と腎のバランスが乱れる人もいます。
このタイプの人はまるで体の中で弱い焚火が燃えているような状態であるため、手が温かったり、顔が赤みを帯びていることもあります。
タイプ4 イライラ不眠
情緒の失調にもあったように肝は「気が上がる」特徴があります。
「気が上がる」は身近な表現では「頭に血が昇る」に近いものがあります。
気とはエネルギーのようなものであるため、気が上がると頭部にエネルギーがこもり易くなり、イライラ、興奮、頭痛、怒りやすいなどの原因になります。
アニメ「どらえもん」のジャイアンが怒った時に顔が赤くなり、頭から湯気がでたり、青筋がでるのはとても分かりやすい表現です。
肝鬱タイプの人は目を見るとよくわかります。
目つきが鋭かったり、目が怒っているような印象を与えている人は肝鬱の可能性が高いです。
また口調が強くなるのも特徴的です。
タイプ5 食べ過ぎ不眠
不眠の原因には飲食の不摂生からくるものもあります。
油っこい物やアルコール、高カロリーな食事、濃い味付けは体の中に余分なカロリー(熱)をため込みます。
このような生活が長引いていると痰(体の中の不要なもの)が溜まります。
痰は長引くと熱を帯びて痰熱となり、結果、体を興奮させて不眠の原因になります。
太っている、汗をかきやすい、赤ら顔、運動不足、中性脂肪や悪玉コレステロールが気になる人はこのタイプの不眠かもしれません。
タイプ6 胃腸の弱り不眠
中医学では胃腸機能の低下や食べ過ぎによる胃の疲れも不眠の原因になると考えられています。
「胃がムカムカして、ゆっくり横になれない」という場合は胃気不和を起こしている可能性があります。
このタイプの不眠は病気というよりも一時的なものであるため、気にならない場合や薬を必要としないケースがほとんどです。
帰宅時間が遅く夕食と就寝の間が4時間未満の人に多くみられます。
以上が中医学的に考える不眠の原因6パターンです。
いかがでしょうか?
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