PMS(月経前緊張症)にお勧めの漢方的食養生

こんにちわ、宇都宮市・天明堂薬局の中山です。

今日はPMSと食材についてのお話です。

 

PMSとは月経前3~10日間ほどに起きる精神的・肉体的な緊張の事です。

生理前になると精神的な緊張(イライラ 鬱々 怒りっぽい 倦怠感)が起きたり、肉体的な緊張(頭痛 胸が張る 肩がこる お腹が張る わき腹が張る)などを経験した人も多いと思います。

PMSは「仕方がない事 あって当然の事」と思っているお客様も多いですね。

病気というほどではないPMSですが健やかな毎日を送るためにもぜひ漢方薬と食養生をお試しください。

 

PMSに対する中医学的キーワードは気滞と瘀血

 

①気滞(きたい)

気とは心身のエネルギーのような存在です。気が充実することで肉体的にも精神的にもエネルギッシュになります。

気という文字が付く言葉を挙げると(気持ち 気配り 気力 気分 気丈 やる気)などがありますね。

気が不足していたり、流れが悪かったりすると(気持ちが良くない 気配りできない 気力が湧かない 気分が良くない 気丈にふるまえない やる気がない)などの症状が表れます。

気は過不足なくあることも重要ですが、滞りなく体を流れることも重要なのです。

気の流れが悪くなった状態を気滞と呼びます。

気滞は運動不足、ストレス、寝不足、PC画面の見すぎ、会話不足、お風呂よりもシャワー、などの生活をしている人に多く見られる傾向があります。

 

②瘀血(おけつ)

瘀血は現代でいう血行不良や血液ドロドロに近いです。

瘀血の症状としては

・経血にドロッとした塊が出る ・生理痛が重い ・手足の冷え ・首筋や肩の凝り

・頭痛しやすい ・シミやそばかすができる ・唇の色が暗い ・足などに静脈が浮き出ている

などがあります。

特に「経血にドロッとした塊が出る」「生理痛が重い」などが当てはまれば瘀血の体質改善をするべきです。

気と血の関係を表す言葉に「気血船同」という言葉があります。これは「気と血は同じ船に乗っている」と訳すことができ、現代風に言えば「気の流れが良いと血流も良くなる。血流が良いと気の流れも良くなる。気の流れが悪いと血流も悪くなる。血流が悪いと気の流れも悪くなる。気と血のながれは比例する」となります。

 

以上のようにPMSのような緊張症状が出てしまう人は気の流れを良くすることと血流を良くすることが重要になってきます。

 

気滞を改善する漢方薬と食養生

気の流れを改善する代表的な処方として逍遥散があります。

逍遥とは「気ままに散歩する フラフラ歩く」という意味があり、まさに煮詰まってしまった時に気分転換に散歩をするかのような処方意図があります。

この処方の良いところは気の流れを改善すると同時に穏やかではありますが血を補う生薬も含まれていることです。

似たような処方に加味逍遥散があります。この処方は逍遥散に牡丹皮と山梔子が加わったものです。

牡丹皮と山梔子が加わっている分、清熱作用が高まっており、PMS時に心が燃えるような感情(怒り、キレやすい、口調が強くなる)が強くみられる人にお勧めです。

しかし、逍遥散に比べると体を冷やす傾向にあるので、冷え症体質や下痢体質の人はお勧めしません。

実際には冷え症の女性は多いため、加味逍遥散よりも逍遥散の方が適している場合が多いように感じます。

気滞を改善する食養生としてお勧めの食材は「香のある食材 酸味のある食材」になります。

・セロリ ・梅干し ・菊花 ・柑橘類(オレンジやグレープフルーツなど) ・あさり ・しじみ

・イカやタコ ・パセリ ・ミント ・レモン ・ブドウ ・黒酢 ・ジャスミン茶 ・ラベンダー茶

・カモミール茶 春菊 ・クコの実

 

逆に気滞を悪化させてしまう食材は過剰な甘みと塩分、辛味などがあります。辛味はわずかであれば気血の流れを改善してくれますがその効果は一過性で、かえって体に熱をこもらせる食材も多いため、イライラや怒りの感情を悪化させることもあります。怒りっぽい人は辛味は控えるのが無難でしょう。

 

 

 

 

瘀血を改善する漢方薬と食養生

血行を良くする漢方薬もたくさんの種類があります。

冠元顆粒、疎経活血湯、桂枝茯苓丸、血府逐瘀丸などが有名ではありますが、やはりこれらも厳密には違いがあるので服用の際は自分の体質に合った処方を選ぶことが重要です。

なにより活血には適度な運動、入浴、ストレスを溜めこまない、胃腸を冷やさないなどの生活養生も大切です。

瘀血を改善する食材としては以下のような食材があります。

・玉ねぎ ・にら ・らっきょう ・青背の魚 ・黒きくらげ ・ねぎ ・しょうが ・なす

・くわい ・紅花 ・山椒 ・サフラン ・ニンニク

 

逆に瘀血を悪化させてしまう食材は過剰な甘み、濃い味付け、動物性脂肪の多い食事になります。

美味しい物は脂肪と糖でできている、なんてキャッチフレーズもありましたが、十分に気を付けたいところです。

 

 

まとめ

PMSは気の流れ、血の流れの改善で解決するため、中医学の得意分野とも言えます。

PMSだから仕方ない、とあきらめずにぜひ一度お試しください。

 

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中山 貴央

中山 貴央先生

  • 薬剤師
  • 国際中医専門員
  • 薬膳コーディネーター

子宝相談、婦人科相談、美容相談を専門としています。
唯一無二の自分の心と体、そして人生だからこそ根本から改善できる漢方を試していただきたいと思っています。