病院での漢方治療と薬局での中医学的対応の違いとは?
先日、お客様からこんなことを言われました。
「中山先生はいろんなことを聞いてくれるけど、病院の先生はあまり話を聞かずにお薬を処方しました。
同じ漢方薬を扱っているのに、どうして違いがあるのですか?」
と…。
これ、実は意外と皆様が疑問に思っているようですね。
まず、この質問に答える前提として、私は病院での対応がダメ、というつもりはありません。
この問題は日本における『漢方』のちょっとした認識の違いが原因なのです。
世の中一般的に言われている「漢方」も、実際には「日本漢方」と「中医学」という大きく2つの分野があります。
使う処方は同じですが、「見立て」が違います。
日本漢方は病名診断と呼ばれることもあり、たとえば「風邪なら葛根湯」「花粉症なら小青龍湯」「ダイエットなら防風通聖散」と処方されます。
「○○なら△△」みたいな感じでお薬を出すことが多いのが特徴ですね。
このメリットは「覚えやすい」という事。
一般の人や漢方に詳しくない人でも、「○○って病気だから△△って薬を飲めばいいのね」ってな具合で分かりやすいですよね。
でもでもでもでも…、ここで一つ疑問が生まれてきませんか?
それは
「人によって体質は違う」ということです。
たとえば風邪を引いたと言っても
・スゴイ体力のある男性で発熱が強く、暑がって洋服を脱ぎたがり、顔も真っ赤になっている(→熱症が強い)
・80歳くらいの体力の落ちた人で、ぶるぶると寒気を感じ、洋服を何枚着ても悪寒がする(→寒症が強い)
というように体質も年齢も症状も違うことがあります。
でも、病院に行くと一括りに「風邪」と診断されてしまう事があります。
そのため、症状も体質も年齢も違うのに「風邪なので葛根湯を飲んでください」となってしまうことがあります。
このように病名からお薬を選ぶ方法は正しいお薬の選択が難しいというデメリットがあります。
一方で、中医学は中国の伝統医学を元にした方法で、弁証論治と呼ばれる理論からお客様の体質や病態を判断していく方法になります。
たとえば風邪を引いたとしても
「いつから?」「今の症状は?」「体質は?」「その他の悩み事は?」など多岐にわたってお客様に質問します。
そのため、カウンセリングに時間がかかり、また深い知識と判断力が必要となります。
当店が「1時間に1組の完全予約制」となっている理由はここなんです。
漢方薬を正しく選ぶためにも、ゆっくりとカウンセリングをしたいので、ご来店の際はぜひご予約ください。