その頭痛、鎮痛剤で抑えます?漢方薬で治します?その⑦
こんにちわ、天明堂薬局の中山です。
頭痛のお話も残すところ今回含めて2回です。
気象条件などが原因の外感(がいかん)頭痛に、体質が原因の内傷(ないしょう)頭痛がありましたね。
今回は内傷頭痛の中でも水分代謝の悪さなどが原因で起こる痰濁(たんだく)頭痛に関して書いてみたいと思います。
そもそも漢方の世界において私たちの体を作る重要な構成要素として気血水があります。
簡単なイメージとしては
気→エネルギー
血→栄養
水→水
で良いと思います。
これらは過不足なく体にある事が重要で、さらに留まることなく流れているのが健康状態を保つ秘訣です。
今回の痰濁頭痛は何かしらの影響により体の水分代謝が低下して、過剰な水分が留まることで起こります。
簡単に言えば『浮腫みによる頭痛』と言っても良いかもしれません。
痰濁頭痛の特徴は重くじんわりと締め付けるような痛みです。
人によっては『きつい帽子をかぶっているみたい』と表現することもあります。
そのような頭痛以外にも、眩暈(めまい)やお腹の不快感、浮腫み、胸のあたりの不快感などを併発することがあります。
そして過剰な水分が体に溜まってる人は舌の上に白い苔が多めに生えてくるのが特徴です。
人によっては口臭にもつながるため、まずは鏡で舌の状態を確認してみましょう。
ー痰濁頭痛が起きている人にお勧めの養生ー
過剰な水分が溜まることで起きるので、養生としては水はけのよい生活習慣を意識することです。
中医学や漢方における体の水分代謝はおもに『脾・肺・腎』で行われているので、これらの働きを高めることが良いです。
例えば…
・冷飲冷食は極力控える
・運動などで汗をかくようにする
・豆類や海藻類を食べて腎の働きを良くする
などが大切ですね。
裏を返せば
運動もしないのに水分をガブガブと大量に飲む人
は、悪化する可能性があるので要注意です。
気をつけましょう。
もちろんご高齢などで運動が難しい場合もありますし、運動をしてもなかなか汗をかきにくい方も多いと思います。
そのような場合には漢方薬をお試しください。
ー痰濁頭痛にお勧めの漢方薬ー
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
痰濁の改善に利用される代表的な処方です。めまいやふらつきなどにも使われることがあります。
止痛作用はあまり期待できないため、痛みが強い場合は川芎茶調散などを併用すると良いでしょう。
また、不眠や神経的な不安定感が気になる場合は温胆湯など服用する場合もあります。
ーまとめー
痰濁頭痛は体の水分代謝が悪い体質の人が、さらに梅雨時など高い湿度によってさらに症状が悪化する場合があります。
日頃から水はけのよい体質作りをすることでこのような症状は改善できるので、心当たりのある方は早めに改善していきましょう。