『風邪には葛根湯』じゃない!漢方薬を正しく選ぼう
こんにちわ、宇都宮市・天明堂薬局の中山です。
今年はうがい手洗いを念入りにしているせいか、風邪をひいている人が少ない、という話も聞きますが、
寒いこの季節はやはり風邪をひきやすいものです。
しっかりと予防をすることが大切ですが、少しでも『風邪かな?』とおもったら早めに手を打つに越したことはありません。
日本ではなぜか『風邪には葛根湯』というイメージがついていますよね。
実はこの言葉は日本だけです。
実際に中国に研修に行った際、中国の中医師に『葛根湯をよく処方するか?』と聞くと、
答えは『NO』です。
厳密にいうと『風邪のタイプに応じて処方は変わるから、風邪だから葛根湯を飲むというのは理論的にオカシイ』ということです。
そもそも葛根湯が登場したのは約2000年前の医学書『傷寒論』です。
傷寒論の時代は気候が寒かったのが特徴で、冷えからくる病気がとても目立ちました。
そのため、傷寒論に記載されている処方は体を温めることに重きを置いたものが多いです。
葛根湯は傷寒、つまり寒邪に襲われたことによって起こるゾクゾクと寒気が強い風邪(風寒邪)に使用される処方です。
しかし、ここで注意しないといけないのは、『風邪』の症状が決して『ゾクゾクとした寒気』だけではないということです。
中には発熱、喉の痛み、粘った痰、尿の色が濃いなどの、熱性の風邪(風熱邪)もあるということです。
風熱邪の症状がみられる場合は、葛根湯のように『温める』ことはNGで、銀翹散のような清熱解毒を目的とした処方が基本になります。
と、ここまで書けば勘の良い人はもうお分かりですね?
風熱邪の人が『風邪には葛根湯』と安易に考え、葛根湯を服用するとどうなるでしょうか?
熱性の風邪をさらに熱を高めることになり、場合によってはさらなる悪化を招きます。
少なくとも良くなることはありません。
この基本知識を知らずに葛根湯を飲み、症状が改善されないと
『葛根湯って漢方薬だから、効果が弱いよね』
という認識になってしまいます。
本当はただ使い方が間違っているだけなんです。
ここでタイトルの『風邪には葛根湯』じゃない!という意味がお分かりになりましたね?
風邪はあらゆる病の入り口、とも言われます。
たかが風邪、と侮るなかれ。
風邪のような基本的な症状だからこそ、適切な処方選ぶようにしましょう。
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