花粉症に小青竜湯!と決めつけないことも大切です
こんにちわ、天明堂薬局の中山です。
暖冬の影響か、量は例年よりも少なくなる見通しですが、それでも花粉症の人には辛いですよね。
花粉症対策に漢方薬は非常に効果的なアプローチで全国的にも漢方薬を利用されている方が多いと思います…。
でも…残念なことに…実は間違って使っている人がかなり多いんです
今回はそんな話です。
花粉症対策の漢方薬として有名なのが小青竜湯(しょうせいりゅうとう)ではないでしょうか?
テレビでも、眠くならない、というキーワードで流れることもありますし、病院でも比較的よく処方されるものです。
しかし!この小青竜湯を安易に【花粉症の漢方薬】と認識するのは危険です。
まずは小青竜湯の中身についてご説明しましょう。
小青竜湯の構成生薬は以下の通りです。
麻黄(温性)9g
桂枝(温性)6g
半夏(温性)9g
乾姜(大熱性)3g
細辛(温性)3g
五味子(温性)3g
白芍(微寒性)9g
炙甘草(平性)6g
さて、勘のいい人ならもうお判りでしょうか?
この処方は温める性質の生薬がとてもたくさん入っています。
そのため、どのような状態に有効かというと
①体に虚寒がある(温める力がなく冷えている状態)
②体の水の流れが停滞している
③水の流れが停滞していることで水飲内停が起こり希薄な痰や鼻水を伴う
ということです。
ざっくりわかりやすく言えば
『体が冷えていて透明な鼻水がジャージャー出ちゃってる状態』
に有効ということです。
花粉症になって透明な鼻水がジャージャー出ちゃっている人にはとても有効な漢方薬、ということですね。
でも、気を付けてほしいのは花粉症になって表れる症状には目の痒みや肌の痒みなどもあるということです。
『赤み』『痒み』『痛み』などは炎症の一部と考えます。
炎症には『炎』という漢字が使われているように、炎症を助長するような漢方薬は控えたほうが良いです。
虚寒の状態に有効な小青竜湯は温める生薬が中心に配合されているので、炎症反応には不向きと考えます
私だったら
『目のかゆみ 充血 皮膚のかゆみ』
には使用を控えたほうが良い、とご案内させていただいております。
もちろん、漢方や中医学の世界にはいろんな考え方がありますから、あくまで『私だったら』の考えですけどね。
でも、処方している側が一つの処方についてどれだけ理解があるのかは必ず確認したほうが良いと思います。
漢方薬は自然なものだから安全!と思っている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。
トリカブトで人は死ぬし、毒キノコで人は死ぬし(笑)
自然なものだから安全なんてことはないです。
漢方薬も、正しい知識と正しい判断で利用することで善にも悪にもなる、ということをお忘れなく。