弱っている人を攻撃してはいけない漢方的理由
こんにちわ、宇都宮市・天明堂薬局の中山です。
つい先日、有名人の自殺の報道を知り、とてもショックを受けました。
テレビ画面でいつも明るく振舞っていた人が、人知れず死を考えるほど追い込まれていたのかと想像すると、深い悲しみを感じます。
一説にはSNSにより攻撃が原因ではないか?と言われていますが、本当のところは分かりませんね。
でも、本当にSNSによる誹謗中傷が原因であったとすれば、これはとても卑怯な事だと感じます。
今回の事は誰にでも起こりえる事だと感じ、漢方的な視点から心が疲れている人、疲労状態の人を攻撃をしてはいけない理由を書きたいと思います。
漢方や中医学では体に不調をきたす原因となるものに『外邪(がいじゃ)』があります。
一般的には寒さや暑さ、乾燥、風、気圧など気候条件が多いです。
対して、私たちには正気(せいき)と呼ばれる外邪から体を守るエネルギーがあります。
正気が十分にあれば、外邪に攻撃されてもそれを打ち返したり、重症化せず回復させることが出来ると考えます。
正気は気の一種です。
気は心や体を動かすエネルギーのようなもので、心身を活動的にしたり、新陳代謝を促したり、様々な『動的活動』に関わります。毎日元気に活動的に生活できるのも、気が充実しているから、と言えます。
疲労状態になることを、漢方では『気虚(気が虚している)』と言います。
今回のケース、SNSによる誹謗中傷が『外邪』と考えると、充実した気があれば、外邪を跳ね返す事が可能ですが、
気が不足していると、外邪による攻撃を跳ね返すことが出来ず、心をダイレクトに攻撃されてしまいます。
私が推測するに、SNSが引き金となって自殺や体調不良を招いてしまう人は、心身の疲労状態が根底にあるのではないか?と考えます。
睡眠不足や無理なダイエット、過労など気を消耗する要因は現代に多くあります。
ちなみに、日本語には『気が強い人』という言葉あります。
まさに、何かトラブルがあると攻撃的に反撃したり、心が折れない人の事を指す言葉ですね。
気は日々のあらゆるストレスから心身を守るうえでとても重要なものです。
もし、周りに疲労状態の人がいたら、間違っても攻撃的な言葉をぶつけないでください。
疲労状態の人は気が弱っていますから、反撃することもできず、まさにサンドバック状態です。
そんな反撃しないと分かっている人を攻撃するのは、卑怯極まりありません。
SNSは相手の状況が分からず、匿名性もあるため、相手を傷つけるようなメッセージを送るハードルが低いのかもしれません。
しかし、気が弱っていて、ちょっとでも押したら倒れてしまいそうな状況の人には、心無い攻撃が死に追いやるナイフになる事もあります。
SNSで相手を攻撃するようなことはしないようにしましょう。
また、普段からストレスや攻撃に打たれ弱いと感じる人は、気が弱っている(気弱な人)可能性があります。
性格の問題ではなく、気が不足している、いわば体調不良なので、心当たりがある人は気を増やす食事や生活、漢方薬を一緒に考えていけたらと思います。
何かとストレスの多い人生です。
気を補って、外邪に攻撃されても『なにくそ!』と反発できるメンタルを持ちたいものですね。