夏バテを解消するには体質に合った漢方薬を
こんにちわ、宇都宮市・天明堂薬局の中山です。
今年の夏は凄い暑い日が続いたと思ったら梅雨を思わせるような長雨で、体調が安定しませんね。
暑い夏による体力の消耗と、長雨による湿気による倦怠感が相まって、夏バテのような症状を起こしている人が多くみられます。
漢方や中医学には『夏病冬治 冬病夏治』という言葉があります。
これは『夏の病は冬から治す事が大切 冬の病は夏から治すことが大切』という意味です。
逆を言えば、夏に不養生や疲労を溜め込みすぎるとその影響が冬の体調不良を招くということです。
そういう意味でも、夏バテは単なる夏のトラブルと考えず、今年の秋冬を楽しく過ごすためにも改善すべきです。
さて、そんな夏バテですが、一口に夏バテと言っても様々です。
夏バテの大きな原因は二つあります。
①暑さによって体液と体力を消耗してしまう→気陰両虚タイプ
②冷たいものや生野菜の食べ過ぎで胃腸機能が低下し気血を作れない→脾胃虚による気血両虚タイプ
①は外で活動する人に多く見られます。
部活動をする学生や農作業をされる人、営業職の方や、長時間の運転、もともと体力や体液が減少傾向にあるご年配の方などは
体液と体力が低下しやすいため、気と体液(陰)を補う必要があります。
気陰両虚に対する漢方薬は麦門冬、人参、五味子からなる処方がとても有名で、中国では生脈飲(しょうみゃくいん)と呼ばれています。
このネーミングは実に面白く『脈を生む薬』と書きます。
昔の人は極端な疲労状態になった時『脈が絶えるほどの状態』と表現したように、生脈飲はまさに脈がドクンドクンと蘇るイメージなんですね。
日本では麦味参顆粒という名前で広く知られています。
夏バテ対策のベース処方として考える専門家も多いほどポピュラーな漢方薬です。
②は食事内容の不摂生を起こしている人に多く見られます。
夏は暑いため、アイスやビール、ジュースをゴクゴクと飲んでしまう事が多いです。
しかし胃腸は冷やされる事を嫌がります。
胃腸が冷やされると機能が低下してしまい、食欲の低下や食事を消化する力、食事からエネルギーや栄養を作る力が低下します。
そのため、疲労感や倦怠感を感じやすくなるのです。
胃腸機能を改善する漢方薬は多種多様にあるため、その人の体質や状況・状態に応じて考える必要がありますが、
基本的には水分代謝を改善し、胃腸を温めるような処方が基本となるでしょう。
今回は夏バテに多く見られる2つのパターンを書いてみました。
夏バテに限らず人が元気に楽しく過ごすためには、食事・睡眠・運動が基本となります。
漢方薬で体調を整えるのも大切ですが、胃腸にやさしい食事を心がけ、質の良い十分な睡眠時間をとり、暑くない時間帯に軽く体を動かすことも
お忘れなく。