有名な漢方薬『補中益気湯』の注意点
こんにちわ、天明堂薬局の中山です。
今日は比較的有名な漢方薬である補中益気湯の注意点について書いてみたいと思います。
補中益気湯は字のごとく『補中(お腹の働きを良くして)益気(気を増やす)』ことを目的としています。
そのため、胃腸虚弱で元気がない、疲れやすい、立ち眩み、言葉を発するのが億劫などの症状に非常に有効な処方です。
胃腸虚弱者が多い日本人には、なじみのある処方と言えるでしょう。
しかし、この補中益気湯も処方構成を見てみると『服用すべきではない人』が見えてきます。
補中益気湯の主薬は昇発性のある黄耆です。その生薬量は他の配合生薬と比べるとけた違いです。
さらに構成生薬の升麻は『脾陽を昇挙する』ため、黄耆の昇発性を高めています。
これは何が言いたいかというと、補中益気湯は気を補うだけではなく『気を上昇させる』働きがあるということです。
そのため、頭部に気が昇っていないような体調不良に効果的なのです。
でも、これは逆を言うと『頭部に気が溜まりすぎている人』には向かないということです。
具体的には
のぼせやイライラが強く、強い頭痛を起こしやすく、目つきが強めで声が大きいような人
には向かない、ということです。
パッと思いつくのは
ジャイアン
です。
ジャイアンのように体格が良くて怒りっぽくて、声が大きい人が補中益気湯を服用するとさらに頭部に気が上がりすぎて
不調を起こしてしまうでしょう。
補中益気湯は元気をつける漢方薬、というキャッチ―な印象から病院でもよく処方されますが、内容をよく見ると決して万人に
使える処方ではないことが分かります。
漢方薬も医薬品です。
自分に合っている処方なのかどうかを必ず相談の上、確認して服用してくださいね!